一般財団法人武井報效会百耕資料館

◆百耕資料館とは

概要・沿革

当館は、神戸市須磨区板宿地区の旧家・武井家が伝えてきた歴史資料(旧摂津国八部郡板宿村関係文書)および美術資料(絵画、書蹟、陶磁器等)を保存・研究するとともに、広く一般の人々に公開し、地域文化の継承と発展に寄与することを願い、昭和62年10月に設立されました。
館の名称は、弘化2年(1845)に生まれ、兵庫県会議員、八部郡長、有馬郡長として地方行政にあたる一方、漢詩を嗜んで数多くの文人墨客と交わり、広い邸内に魁春園〈かいしゅんえん〉(梅園)・秋錦園〈しゅうきんえん〉(菊園)を営んで一般に開放し、茶器の鷹取焼〈たかとりやき〉をはじめるなど、多彩な業績を残した武井伊右衛門〈たけいいえもん〉の雅号百耕にちなんで名付けられています。
開館以来、当館では、毎年春・秋にテーマを定めて武井家所蔵の歴史資料・美術資料を展覧に供してまいりましたが平成22年度、館内のリニューアルを行い、武井家所蔵の資料を用いて原始・古代~近現代の板宿地区の歴史を紹介する常設展「板宿の歴史」を設けました。また、企画展として、板宿・須磨・神戸の歴史に関わるテーマを取り上げた展示や、武井家所蔵の美術資料をご紹介する展示を開催致します。

武井伊右衛門(百耕)

武井伊右衛門(百耕)武井伊右衛門(百耕)は、弘化2年(1845)摂津国八部郡板宿村に生まれました。父は幕末に板宿村庄屋、下灘組惣代庄屋、明治維新後に板宿村戸長、兵庫県第十一区戸長、同第三区区長などを勤めた武貞伊右衛門(維新後、武井善左衛門に改名)です。明治維新後、板宿村戸長、兵庫県第三区区長、兵庫県県会議員、八部郡郡長、有馬郡郡長などの公職を歴任。その一方で、日頃より書画を愛好し、漢詩を嗜み、多くの郷友諸士と親交を結びました。公職を退いてからは邸地に秋錦園、魁春園の二園を開き一般に開放しました。大正6年(1917)没。享年73。

秋錦園

武井伊右衛門(百耕)大正元年(1912)秋撮影。秋錦園は武井伊右衛門(百耕)が開いた菊園です。現在の育英幼稚園がその故地にあたります。幼稚園内の庭園と当時建立された百耕の句碑(題秋錦園)が、かつての秋錦園のおもかげを伝えています。




板宿の歴史

板宿地区と板宿本通商店街板宿地区は、神戸市須磨区の南東部に位置します。背後に六甲山系の山を背負い、そこに源を発する妙法寺川が、地区内を北東から南西にかけて流れ下っています。現在の当地区は、神戸市営地下鉄・山陽電車板宿駅北側を占める、西神戸最大級の繁華街・板宿商店街(板宿本通商店街・板宿センター街商店街・板宿連合市場場など、複数の商店街・市場から構成される)を中心とする商業地と、その周辺に広がる住宅地からなる、多くの人口を抱えた市街地となっています。平成24年5月には、須磨区役所が当地区内に移転、行政上も須磨区内で大きな位置を占めるようになりました。
ここはかつて、たとえば幕末には戸数55軒・人口300人ほどの、田んぼが広がり、数多くのため池をかかえた「板宿村」という村でした。その実態は別にして、「板宿村」という名自体は、遠く鎌倉時代にまでさかのぼることができます。地区内では、古墳や縄文・弥生時代の遺跡も発見されており、人びとの生活の営みとなれば、さらに長い歴史を持つ地であることがわかります。
当館では、こうした板宿地区の原始・古代から近現代に至る歴史について、常設展「板宿の歴史」で、展示解説パネルと、武井家伝来の1万2千点を超える古文書を始めとする歴史資料とによってご紹介しています。

粉本〈ふんぽん〉とは

板宿地図粉本とは、胡粉〈ごふん〉を用いて下絵を描いたところから、本来、絵の下書きを意味しますが、現在は、画の制作過程における画稿や本画(完成画)の完成過程における下図(下絵)、絵師(画家)個人の作画のための写生図・写生帖、さらには古画の模写や縮図(手控え)、絵手本などをその範疇に含めて考えられています。
粉本は、まずはその性格から、絵師がどのようにして画を学び修得したのか、またいかに本画を制作したのかを知るための大きな手がかりとなります。加えて、古画の模写や縮図は、いまは失われた本画を復元したり、現存する本画を再評価したりするための良質な情報を与えてくれます。粉本は、美術史研究のきわめて重要な資料といえるでしょう。のみならず、独立した絵画作品として十分鑑賞にたえうる粉本も決して少なくありません。
当館には、こうした粉本が2000点以上所蔵されています。これらは、武井伊右衛門(百耕)が収集し、以後武井家に伝えられてきたものです。内容的には、円山・四条派を始め、狩野派、土佐派、岸派、文人画系の絵師など、特に江戸時代半ば以降の京都画壇で活躍した絵師たちに関わるものが大半を占めています。
当館では、企画展で、毎回テーマを定めて、こうした武井家伝来の粉本をご紹介しています。

2023年度秋季企画展案内

2023年度秋季企画展案内

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連絡先

〒654-0009
神戸市須磨区板宿町2丁目2-1

℡(078)733-2381

Fax(078)733-2383

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